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宮沢 賢治 作
読み手:上田 あゆみ(2025年)
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高級の霧
こいつはもう あんまり明るい高級の霧です 白樺も芽をふき からすむぎも 農舎の屋根も 馬もなにもかも 光りすぎてまぶしくて (よくおわかりのことでせうが 日射しのなかの青と金 落葉松は たしかとどまつに似て居ります) まぶし過ぎて 空気さへすこし痛いくらゐです
(一九二二、六、二七)