上村 松園 作 日本画と線読み手:坂井 あきこ(2025年) |
日本画 美人画 風俗画 それがこれからどうなってゆくかと申すことにつきましては、いろいろと斯道の人達にも議論せられているようでございますが、いずれに致しましても、どうかしてこの日本特有の絵の心を失わずに持ち続けたいものだと存じます。
それで、この「日本画」殊に風俗画の特有な妙所は何処にあるかと考えてみますると、まず主にそれは絵筆の尖端からいろいろな味を以て生れて来て、自由自在に絹や紙の上に現われてくる「線」そのものであろうと思います。
日本画の線と申すものは、この絵を作る上に於て最も重要なもので、日本画にこれがなかったら、日本画というものはまず無いと言ってもいいものかと存じます・・・