宮沢 賢治 作 春と修羅 東岩手火山読み手:水野 久美子(2025年) |
東岩手火山
月は水銀 後夜の喪主
火山礫は夜の沈澱
火口の巨きなゑぐりを見ては
たれもみんな愕くはずだ
(風としづけさ)
いま漂着する薬師外輪山
頂上の石標もある
(月光は水銀 月光は水銀)
こんなことはじつにまれです
向ふの黒い山……つて それですか
それはここのつづきです
ここのつづきの外輪山です
あすこのてつぺんが絶頂です
向ふの?
向ふのは御室火口です・・・