上村 松園 作 女の顔読み手:坂井 あきこ(2025年) |
顔の時代変遷
美人絵の顔も時代に依って変遷しますようで、昔の美人は何だか顔の道具が総体伸びやかで少し間の抜けたところもあるようです。先ず歌麿以前はお多福豆のような顔でしたが、それからは細面のマスクになって居ります。然しいずれの世を通じましても、この瓜実というのが一番美人だろうと思います。
顔の中心
美人画の顔で一番何処を力を入れて描くかと申せば猶且眼です。眼付のよいのが一番でして、少々外の道具が悪くてもこの眼さえよければ絵が引立つものです。
描者に似る
大変妙な事を申しますが、絵に描く人物の顔は総じて描いた者に似るもので、・・・