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宮沢 賢治

春と修羅 白い鳥

読み手:齊藤 雅美(2025年)

春と修羅 白い鳥

著者:宮沢 賢治 読み手:齊藤 雅美 時間:4分51秒

 白い鳥

 ※(始め二重括弧、1-2-54)みんなサラーブレツドだ
  あゝいふ馬 誰行つても押へるにいがべが※(終わり二重括弧、1-2-55)
 ※(始め二重括弧、1-2-54)よつぽどなれたひとでないと※(終わり二重括弧、1-2-55)
古風なくらかけやまのした
おきなぐさの冠毛がそよぎ
鮮かな青い樺の木のしたに
何匹かあつまる茶いろの馬
じつにすてきに光つてゐる
   (日本絵巻のそらの群青や
    天末の turquois はめづらしくないが
    あんな大きな心相の
    光の環は風景の中にすくない)
二疋の大きな白い鳥が
鋭くかなしく啼きかはしながら
しめつた朝の日光を飛んでゐる ・・・

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