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宮沢 賢治 作
読み手:上田 あゆみ(2025年)
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昴
沈んだ月夜の楊の木の梢に 二つの星が逆さまにかかる (昴がそらでさう云つてゐる) オリオンの幻怪と青い電燈 また農婦のよろこびの たくましくも赤い頬 風は吹く吹く 松は一本立ち 山を下る電車の奔り もし車の外に立つたらはねとばされる 山へ行つて木をきつたものは どうしても帰るときは肩身がせまい (ああもろもろの徳は善逝から来て そしてスガタにいたるのです)・・・