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小川 未明

青い玉と銀色のふえ

読み手:ひよっ子M(2025年)

青い玉と銀色のふえ

著者:小川 未明 読み手:ひよっ子M 時間:8分50秒

 北のさびしい海のほとりに、なみ子の家はありました。ある年、まずしい漁師であったおとうさんがふとした病気で死ぬと、つづいておかあさんも、そのあとを追うようにして、なくなってしまいました。かねて、びんぼうな暮らしでしたから、むすめのなみ子にのこされたものは、ただ青い玉と、銀色のふえだけでありました。
 青い玉は、ずうっと昔、先祖のだれかが、この海べのすなの中からほり出して、それが代々家につたわったのだということでありました。
 なにかねがい事があるとき、この青い玉にむかって、真心をこめておねがいすると、その心が神さまに通じてかなえられるというので、おかあさんはこの青い玉を、とてもだいじにしていました・・・

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