ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム 作 金田 鬼一 訳
読み手:阿部 みゆき(2025年)
むかし昔、あるところにびんぼうな信心ぶかい少女がありました。少女はおかあさんと二人ぎりでくらしていましたが、食べるものがもうなんにもありません。それで、少女は、(野いちごでもさがすつもりでしょうか、)郊外の森へ行きました。森の中で少女にであったのは、見たことのないおばあさんです。このおばあさんは少女の心配をちゃんと承知していて、少女に、つぼふかいお鍋を一つやりました。このお鍋は、少女が、「おなべや、ぐつぐつ!」と言うと、上等のおいしい黍のおかゆをぐつぐつこしらえます、それから、「おなべや、おしまい!」と言うと、おかゆをこしらえるのをやめるのです。
少女はこのお鍋をおかあさんのとこへ持ってかえりました・・・
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