田中 貢太郎 作
読み手:齋藤 こまり(2026年)
これは人蔘で有名な朝鮮の話であります。其の朝鮮に張と云う人がありました。其の張は山の中や野の中を歩いて人蔘を掘るのが稼業でありました。ぜんたい人蔘というものは、山の中や野の中に自然に生えて、二十年も三十年も経った古いものでなくては体に利き目がありません。又そんなよい人蔘になりますと一本で何十円何百円にもなります。
張もそうした人蔘を捜して歩く者でありました。某日張は、其の人蔘を尋ねて深い山の中へ入って往きました。そして朝から晩まで彼方此方と尋ねましたが、そんなよい人蔘が直ぐ見つかるものではありません。そんなことは張も承知でありますから、陽が暮れかかると腰につけていた辨当をたべて、・・・
Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.