櫻間 中庸 作
読み手:堀口 直子(2026年)
東京の街から出てゐる二本のレールは原つぱをつききつて青い空の下を、ずつとあちらまでつゞいてゐます。そのレールの上を青電車がシンシンと音をたてて走りました。
じゆん一くんのお家は、その原つぱのまん中にある小さな町にありました。
じゆん一君は電車がすきでした。
町の踏切りにはをぢいさんが電車の通るたびにしやだんきを擧げたり、降したりしました。をぢいさんが手に持つてゐる青い旗は、すつかり色がなくなつてゐて、風にひたひたゆすられました。
じゆん一君は、まい日、夕方になると、ひとりで、そこの踏切りまでゆきました。踏切の近くの木柵に凭りかかつて、電車の通るのを待ちました。お父さんが、東京のお役所へお仕事に行つて居られるのです。
踏切り番のをぢいさんとじゆん一君は仲良しになりました・・・
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