小川 未明 作
読み手:ひよっ子I(2026年)
ある、うららかな日のことでありました。
二郎は、友だちもなく、ひとり往来を歩いていました。
この道を、おりおり、いろいろなふうをした旅人が通ります。
彼はさも珍しそうに、それらの人たちを見送ったのであります。
二郎は、こうして街道を歩いてゆく知らぬ人を見るのが好きでした。
さまざまなことを空想したり、考えたりしていると、独りでいてもそんなにさびしいとは思わなかったからです。
暖かな風が、どこからともなく吹いてくると、乾いた白い往来の上には、ほこりが立ちました。
まだ、おそ咲きのさくらの花が、こんもりと、黒ずんだ森の間から見えるのも、いずれも、なつかしいやるせないような気持ちがしたのであります・・・
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