青空朗読ロゴ

小川 未明 作

赤い船のお客

読み手:ひよっ子I(2026年)

ご利用のブラウザではこの音声を再生できません。

赤い船のお客

著者:小川 未明 読み手:ひよっ子I 時間:16分20秒

 ある、うららかな日のことでありました。
 二郎は、友だちもなく、ひとり往来を歩いていました。
 この道を、おりおり、いろいろなふうをした旅人が通ります。
 彼はさも珍しそうに、それらの人たちを見送ったのであります。
 二郎は、こうして街道を歩いてゆく知らぬ人を見るのが好きでした。
 さまざまなことを空想したり、考えたりしていると、独りでいてもそんなにさびしいとは思わなかったからです。
 暖かな風が、どこからともなく吹いてくると、乾いた白い往来の上には、ほこりが立ちました。
 まだ、おそ咲きのさくらの花が、こんもりと、黒ずんだ森の間から見えるのも、いずれも、なつかしいやるせないような気持ちがしたのであります・・・

© & ℗ 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.
Unauthorized duplication and distribution are strictly prohibited.
(掲載の音声、文章、デザイン等の無断転載・公衆送信を禁じます)