竹久 夢二 作
読み手:今 美佳子(2026年)
お庭の木の葉が、赤や菫にそまったかとおもっていたら、一枚散り二枚落ちていって、お庭の木はみんな、裸体になった子供のように、寒そうに手をひろげて、つったっていました。
つづれさせさせ はやさむなるに
あの歌も、もう聞かれなくなりました。北の山の方から吹いてくる風が、子供部屋の小さい窓ガラスを、かたかたいわせたり、畑の唐もろこしの枯葉を、ざわざわゆすったり、実だけが真黒くなって竹垣によりかかって立っている日輪草をびっくりさせて、垣根の竹の頭で、ぴゅうぴゅうと、笛をならしたりしました。
「もう冬が来るぞい」
花子のおばあさんはそう言って、真綿のはいった袖なしを膝のうえにかさねて、背中をまるくしました・・・
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