竹久 夢二 作 夜読み手:緒方 朋恵(2016年) |
日が暮れて子供達が寝床へゆく時間になったのに、幹子は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。
「さあ、みっちゃんお寝みなさいな。雛鳥ももうみんな寝んねしましたよ」
お母様は、幹子に寝間着を着せながら仰言いました。
「みっちゃんが夕御飯たべてる時に、親鳥が コ コ コ って言って雛鳥を寝かしていましたよ」
「だってあたし眠くないんですもの」
「山の小鳩も、もう親鳩の羽根の下へ頭をかくして コロ コロ コロ お休みって眠りましたよ」
「だってあたし眠くないの」
「赤い小牛は小屋の中で、羊の子は青い草の中で寝しましたよ」・・・