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小川 未明

月夜とめがね

読み手:水谷 ケイコ(2017年)

月夜とめがね

著者:小川 未明 読み手:水谷 ケイコ 時間:14分12秒

 町も、野も、いたるところ、緑の葉につつまれているころでありました。
 おだやかな、月のいい晩のことであります。しずかな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただひとり、窓の下にすわって、針しごとをしていました。
 ランプの火が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸が通らないので、ランプの 火に、いくたびも、すかしてながめたり、また、しわのよった指さきで、ほそい糸をよったりしていました・・・

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