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小津 安二郎

ここが楢山 〈母を語る〉

読み手:かわなみ のりこ(2017年)

ここが楢山 〈母を語る〉

著者:小津 安二郎 読み手:かわなみ のりこ 時間:2分41秒

 母は明治八年生れ。三男二女をもうけて、僕はその二男に当る。他の兄妹は、それぞれ嫁をもらい、嫁にゆき、残った母と僕との生活が始まってもう二十年以上になる。
 一人者の僕の処が居心地がいいのか、まだまだ僕から目が放せないのか、それは分らないが、とにかく、のんきに二人で暮している。
 母は、朝早く夜早く、僕はその反対だから家にいても滅多にめしも一緒に食わない。
 去年頃までは、なかなかの元気で、一人で食事の支度から雨戸の開けたて、僕の蒲団の上げおろしまでやってくれたが、今年から、いささか、へばって家政婦さんに来てもらっている・・・

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