小川 未明 作 秋のお約束読み手:根津 恵美子(2018年) |
まあちゃんが、「寒い、寒い。」といっていましたときに、お母さんは、子供たちのきものをぬいながら、
「もう、あちらのけやきの木の枝がいろづいたから、じきにあたたかくなりますよ。」と、おっしゃいました。
まあちゃんは、お母さんにつれられて幼稚園へまいります途中、ふと頭の上をあおぎ見ますと、うす緑色のやわらかなこまかな葉が、いっぱいけやきの木の枝から出て、おもしろそうに笑っていました。
「お母さん、あんなに葉が出た。」と、いつかお母さんのいわれたことを思いだしたのです・・・