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村山 籌子

ライオンの大損

読み手:池戸 美香(2019年)

ライオンの大損

著者:村山 籌子 読み手:池戸 美香 時間:3分29秒

 ある秋の一日、一匹の威張り屋のライオンが森の中で、お昼寝をしてゐる間に、大切な、日頃自慢のあごひげを、誰にとられたのか、それとも抜け落ちてしまつたのか、とにかく起きて、のどがかわいたので、水をのみに、ふら/\と川の方へ行く途中で熊に会ひますと熊は、ライオンをよく知つてゐるのに挨拶をしないので
「熊君、なぜ、挨拶をしない? 失敬じやないか」といつた時に熊は、やつと気がついて
「やあ、ライオン様でございましたか、昨日まで、お見受け致してゐた、あなたのあごひげがないので、ついお見それしたのです。御免下さい。」と答へましたので、ライオンは初めてひげがなくなつてゐることに気がついて、びつくりしたのです・・・

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