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種田 山頭火

片隅の幸福

読み手:水野 久美子(2021年)

片隅の幸福

著者:種田 山頭火 読み手:水野 久美子 時間:4分47秒

大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
 一茶の句である。いつごろの作であるかは、手もとに参考書が一冊もないから解らないけれど、多分放浪時代の句であろうと思う。とにかくそのつもりで筆をすすめてゆく。――
 一茶は不幸な人間であった。幼にして慈母を失い、継母に虐められ、東漂西泊するより外はなかった。彼は幸か不幸か俳人であった。恐らくは俳句を作るより外には能力のない彼であったろう。彼は句を作った・・・

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