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中原 中也

山羊の歌 雪の宵

読み手:松岡 初子(2021年)

山羊の歌 雪の宵

著者:中原 中也 読み手:松岡 初子 時間:1分33秒


青いソフトに降る雪は    
過ぎしその手か囁きか  白秋

ホテルの屋根に降る雪は
過ぎしその手か、囁きか
  
  ふかふか煙突煙吐いて、
  赤い火の粉も刎ね上る。

今夜み空はまつ暗で、
暗い空から降る雪は……

  ほんに別れたあのをんな、
  いまごろどうしてゐるのやら。

ほんにわかれたあのをんな、
いまに帰つてくるのやら

  徐かに私は酒のんで
  悔と悔とに身もそぞろ。

しづかにしづかに酒のんで
いとしおもひにそそらるる……

  ホテルの屋根に降る雪は
  過ぎしその手か、囁きか

ふかふか煙突煙吐いて
赤い火の粉も刎ね上る。

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