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夏目 漱石

永日小品 儲口

読み手:みきさん(2022年)

永日小品 儲口

著者:夏目 漱石 読み手:みきさん 時間:7分27秒

 「あっちは栗の出る所でしてね。まあ相場がざっと両に四升ぐらいのもんでしょうかね。それをこっちへ持って来ると、升に一円五十銭もするんですよ。それでね、私がちょうど向うにいた時分でしたが、浜から千八百俵ばかり注文がありました。旨く行くと一升二円以上につくんですから、さっそくやりましたよ。千八百俵拵えて、私が自分で栗といっしょに浜まで持って行くと、――なに相手は支那人で、本国へ送り出すんでさあ。すると、支那人が出て来て、宜しいと云うから、もう済んだのかと思うと、・・・

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