閉じる

閉じる

種田 山頭火

白い花

読み手:齋藤 こまり(2022年)

白い花

著者:種田 山頭火 読み手:齋藤 こまり 時間:5分21秒

 私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。

 家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の壺に投げ入れて、それをしみじみ観賞するのである。
 このごろの季節では、蓼、りんどう、コスモス、芒、石蕗、等々何でもよい、何でもよさを持っている。
 草は壺に投げ入れたままで、そのままで何ともいえないポーズを表現する。なまじ手を入れると、入れれば入れるほど悪くなる。
 抛入花はほんとうの抛げ入れでなければならない ・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.