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小川 未明

風と木 からすときつね

読み手:アン荻野(2022年)

風と木 からすときつね

著者:小川 未明 読み手:アン荻野 時間:13分20秒

   風と木

 広い野原は、雪におおわれていました。無情な風が、わが世顔に、朝から夜まで、野原の上を吹きつづけています。その寒い風にさまたげられて、木の枝は、すこしもじっとしておちついていることができません。しきりに振り起こされては、氷のような空気の中に無理やりに躍らなければなりませんでした。
「もし、もし、北風さん、そう私をいじめるものではありません。私は、いま、春になる前の用意をしているのです。あなたが、この野原をひとりよがりに駈けまわっていなさるのも、わずかな間です・・・

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