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河合香織さんのポエム

ー くもっこ ー

くもっこのおさんぽ

読み手:藤原 淳子(2021年)

青々とした空に ぽこぽこ うかんでいるのは、
雲の 「くもっこ」 ちゃんです。
くもっこは、いつもそよ風に吹かれながら、
ぷかぷか たのしそうに、みんなのことを見ているよ。
 いつもやさしくてらしてくれるお日さまの ぽっこりといっしょに くもっこは、
ふわわふわわ うれしそうにおさんぽに行きました。
そよ風にゆられてやってきたのは、かわいいびょういんでした。
ママにだっこしてもらって、くもっこを見つめているのは、
小さな女の子でした。
その子は、にこっとするばかりで、こえが出ないのでした。
くもっこは、ゆらゆら そよ風にのせられてやってきました。 
「どうして、こえがでないの?」
くもっこは、ふしぎそうにききました。
その子の心の中から
(私にも わからないけど、毎日たのしいよぉ。)
くるりん うれしそうにこっちへむかって来て、
ほほ笑んだ くもっこは、 「うん! そうだね。」
女の子は、目を 丸くして
(わたしのこと、わかるの?)
「そうみたい、君の言うことがわかるみたい!」
そよ風にゆられながら、くもっこは、ふわわふわわ、ほほ笑みます。
くもっこにこたえるように、(ありがとう、くもっこちゃん!)
「あれ?、どうしたの?」
ママは、ぽかっと、ふしぎそうにして、
(こんなに笑ったことがなかったのに)
あの子の かおを じーっとながめながら、ママは、だっこしてまた、ゆらゆらと、青々とした 空を見上げました。
お日さまにてらされたさくらは、びょうしつをやさしくさくら色にします。くもっこもやさしくさくら色。
くるまいすにのっているのは、からだのほそい女の子、
そばにいるのは、かんごしさんでした。
(あの雲は、ちょっぴりてれているよ。)
フフフっと、目で言いました。
「そうだね!、あの雲さんは、だれかを好きになっちゃったとか?」
あたまを こっくりと、うなずきました。
くびをかしげて、くもっこのほうを見ました。
何か声が するんですもの。
たしかにあの雲さんのところから、きこえてくると、くるまいすにのった 女の子は、青い空から、ふわふわりん、さくら色した くもっこに 心の中で言いました。
 (雲さん、こんにちは)
くもっこは、くるりん、うれしそうに よってきます。
「こんにちは、はじめまして!」
女の子は、ほっぺがさくらんぼのように、赤くなっていました。はずかしそうに
(雲さんは、おなまえは?)
「くもっこです。」
(くもっこちゃん、どうして、さくら色なの??)
くもっこは、どうして、さくら色になったのか、よくわかりません、ただ、さくらが咲いていたところに、お日さまの ひかりで、さくら色にかわったかも!と、目を まん丸くして こういうと、その子の目がキラキラとかがやきながら、きいていました。
かんごしさんは、あのくもっこがおしゃべりするとは、思わないでしょうから、あのこと、くもっこのひみつにしましょう。

 くもっこは、もうかえらないと、おかあちゃんにしかられると、つぶやいて、
「はい、なにか ごようじですか??ビューン!」
強い風のひこうきさんは、言いました。
「ち、ちかいですっ!」
「あっ、それはそれは、ごめん。」
「ぼくは、目が少しわるくてね。」
ひこうきは、ビクビクしながら言いました。
「なんだ。そんなこと 気にしないよ、私」
と、 うんうん うなづいた くもっこのやさしいひとことで 
強い風のひこうきは、ビュンビュン、うれしそうにとびまわっています。
こうしているあいだに、星の光が、ひとつまたひとつ、
ともりはじめました。
くもっこはあわてて、
「強い風のひこうきくん!、くものくもランドまで急いで、おねがい!!」 と言いました。
「はいはい はいっ!わっかりました!」 「ビューン!」
ひこうきのとても早いスピードに、くもっこは、
くるくるりーん!、くるくるりーん!今にも転げ落ちそうです。
遠くに見えて来たのは、にじのげんかんです。
くもランドに やっとついたくもっこは、
「ありがとう!強い風のひこうきくーん!!、また会おうね!」
  ひこうきは、くるくるとんで 「はいはいはーい!、また会いましょう!」 
今日あったことを おかあちゃんに早く言いたくてしかたがない くもっこは、いっきに話すと、いもうとの くもりん が言います。
「くもりんも、いくっ!!、ねぇー、おかあちゃん、いい?」
くもりんは、おそとには、いままで おとうちゃんとおかあちゃんがいっしょに おさんぽしてきましたが、こんどばかりは、おとうちゃんにそうだんしました。
「こまったね、くもりんは、まだ、あかんぼうだ。」
そのことをきいていた くもっこの ふたごの おねえちゃんの くもみんとくもたんは、 「おとうちゃん、おかあちゃん、わたしたちも いっしょについていくから、おねがい!」  
くもみんとくもたんは、いもうと思いで、いつもやさしく あそんであげています。
おとうちゃんは、
「うーん?、どうしたもんかね?、かあさん」
 「そうですねー、あの子たちが、そこまで言うのだから、い
っかい、おさんぽができるかどうか、行かせるのはどうなんでしょうか。」
くもくもと、おとうちゃんがうなづきました。
 それをきいた くもみん、くもたん、くもっこ、くもりんは、
おおよろこび!
さっそく、4しまいは、てるてるぼうずさんをつくります。
ふっわふっわの くもで、できているから、わたあめのような てるてるぼうずさん! とてもかわいくできました。
そのてるてるぼうずさんをまどにぶらさげました。
そして くもみんがうたうと、くもたんもうたいはじめたのです。
「♪ てるてるぼうず てるてるぼうず
      あした てんきにしておくれ♪」
 くもっこもくもみんとくもたんのあとをおいかけるように、
うたいます。
 くもりんというと、目がとろとろ、だけど、口をあけてうたっているようすに、みんなは、くすくすわらって言いました。
 お月さんの時計が大きくなっているので、おかあちゃんが言いました。
「みんな、もうねましょう。」 

くものおふとんは、お日さまのいいかおりがするので、みんなは、すぐにねむってしまいました。

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